AI音楽生成問題、個人ミュージシャンにもお金を払ってほしい話

最近、音楽業界でちょっと大きな動きがあったので、同じようにミュージシャンとして活動している皆さんにシェアしたいと思います。

1. ソニーなど大手レーベルがAI企業を訴えた件

まず何が起きたかというと、2024年6月にソニー・ミュージック、ワーナー、ユニバーサルの音楽業界ビッグ3が、AIで音楽を作る「Suno」と「Udio」っていう会社を訴えたんです。

理由は簡単。これらのAI企業が、何百万もの既存楽曲を勝手に使ってAIに学習させて、それで新しい音楽を作らせてるから。要するに「うちのアーティストの曲、無断で使うなよ」ってことですね。

損害賠償額がまたすごくて、著作権侵害された楽曲1曲につき最大15万ドル(約2200万円)。総額だと数千億円規模になる可能性があるそうです。

AI企業側は「コピーじゃなくて新しい音楽を作ってる」「フェアユースだ」って反論してるけど、正直これってどうなんでしょうね。確かに技術的には新しい曲かもしれないけど、元になってるのは私たちミュージシャンが時間をかけて作った楽曲ですよね。

そのことに関して前に記事を書きました。

2. 和解の話が出てきたけど、誰が得するの

で、最近になって和解の話が出てきました。訴訟を続けるんじゃなくて、AI企業にライセンス料を払ってもらって、正式に楽曲データを使えるようにしようってことらしいです。

さらに、大手レーベルがAI企業の株を買う可能性もあるとか。

これ自体は悪い話じゃないと思うんです。AIって技術としては面白いし、完全に否定するより、ちゃんとルールを作って共存していく方が現実的ですよね。レーベル側も新しい収入源になるし、AI企業も合法的にデータを使える。

でも、ここで一つ大きな問題があります。

3. 個人でやってる僕らにもちゃんと払ってよ

今の和解交渉って、大手レーベルとAI企業の間だけの話なんですよね。でも実際にAIが学習してるのは、大手レーベル所属のアーティストの楽曲だけじゃないはず。

インディーズで活動してる人、個人で楽曲配信してる人、YouTubeやSoundCloudで発表してる人… そういう僕らの楽曲も、きっとAIの学習データに使われてるんじゃないでしょうか。

僕も細々と音楽活動をしてる身として、これはちょっと納得いかないんです。大手レーベルだけがライセンス料をもらって、個人のミュージシャンは蚊帳の外?それっておかしくないですか。

音楽を作るのって、メジャーだろうがインディーズだろうが、同じように時間も労力もかかります。夜中まで DAW とにらめっこして、何度も録り直して、ミックスで悩んで… そうやって作った楽曲が勝手に使われて、でも対価は払われない。これじゃあんまりです。

4.個人クリエイターのための仕組みを作ってほしい

じゃあどうすればいいのか。いくつかアイデアがあります。

まず、AI企業から集めたライセンス料の一部を、個人クリエイター支援の基金にすること。楽曲の利用実績に基づいて、個別に補償金を配る仕組みがあってもいいと思います。

それから、オプトアウト制度。「自分の楽曲はAI学習に使わないで」って言えるシステムです。全員が AI に協力的なわけじゃないし、クリエイターには自分の作品の使われ方を決める権利があるはずです。

5.技術と創作者の権利は両立できる

誤解しないでほしいのは、私は AI 技術自体を否定してるわけじゃないってことです。実際、作曲のアイデア出しに AI を使ったりもするし、うまく使えば創作の幅が広がる面白いツールだと思います。

でも、だからといって既存の楽曲を勝手に使っていいわけじゃない。技術の進歩と創作者の権利保護って、対立するものじゃないはずです。

今回の和解交渉が、大手企業だけの利益になるんじゃなくて、音楽に関わるすべての人にとって公平な仕組みを作るきっかけになってほしい。そう願っています。

AI 時代の音楽業界がどうなっていくのか、正直まだ見えない部分も多いです。でも少なくとも、音楽を作る人みんなが尊重される業界であってほしい。大手だろうが個人だろうが、クリエイターはクリエイターですから。

同じように音楽活動をしている皆さんは、この件についてどう思いますか?コメントで教えてもらえると嬉しいです。

AIに曲を学ばせたらダメなの?Suno訴訟から考えるDTMクリエイターのための著作権とAI

はじめに

音楽制作の世界に、AIという新しいツールが本格的に登場してきました。メロディを作ったり、歌声を生成したり、場合によっては「こういう感じの曲を作って」とテキストを入力するだけで楽曲が完成する時代。

でも最近、そんなAI音楽サービスをめぐって大きなニュースが飛び込んできました。アメリカの大手音楽レーベル3社(ユニバーサル、ソニー、ワーナー)が、AI音楽生成サービス「Suno」や「Udio」を訴えたというのです。

その理由は「著作権侵害」――え? 学習させるだけでもアウトなの?

DTM初心者さんや、趣味で音楽制作をしている方にとっては、ちょっと難しく感じるこの話。でも実は、これからの音楽とAIの付き合い方を考える上で、すごく大事な問題なんです。私自身もDTMで音楽を作っているクリエイターとして、この問題をしっかり考えたいと思っています。

そこでこの記事では、できるだけわかりやすく、そして制作に関わる視点から、今何が起きているのか、AIの学習ってホントに悪いことなのかを考えていきます。


1. Sunoってどんなサービス?

Sunoは、ざっくり言えばAIが自動で音楽を作ってくれるサービスです。ユーザーが「ポップなメロディに、切ない歌詞で…」みたいな指示(テキスト)を入力すると、数秒でちゃんと歌声まで入った楽曲が完成します。

驚くのは、そのクオリティ。一昔前の機械的なBGMとは違って、ちゃんとした“人間っぽい”曲ができるんです。しかも、ジャンルもメロディも歌詞もコントロールできる。DTMで地道にコードを打ち込んでた人には、ちょっと衝撃的ですよね。

Udioも同様に、ユーザーの指示に応じてAIが曲を“生成”するサービス。最近では、プロ顔負けの仕上がりの曲もSNSで話題になっています。


2. 今起きている訴訟のポイント

2024年6月、アメリカの3大レーベルがこのSunoとUdioを著作権侵害で訴えました。

理由は「AIの学習に著作権のある楽曲を無断で使った」というもの。

つまり、AIをトレーニングするために、昔のヒット曲や人気アーティストの曲を勝手にコピーして学習に使った。それが「著作権侵害だ!」という主張です。

たとえば、AIが「マライア・キャリー風のクリスマスソング」を生成したとき、それが本家そっくりになってしまえば、「これはもうパクリでは?」という疑念もわいてきます。

レーベル側は、1曲あたり15万ドル(日本円で約2000万円)レベルの賠償請求をしています。もし数千曲が対象になれば…とんでもない金額です。


3. AIに“学習”させることは著作権侵害なの?

ここが今回の核心です。

AIが曲を“学ぶ”だけで著作権侵害になるのか?

普通に考えると、「人間が昔の曲を聴いて学ぶ」のは問題ありませんよね。私たちもビートルズを聴いてインスピレーションを得たり、コード進行を参考にして曲を作ったりします。

それとAIの“学習”は何が違うのか。実はこの違いがすごくグレーなんです。

AIの場合、曲を“聴く”だけじゃなくて、一時的にデータとして複製するプロセスがあります。ここで著作権に引っかかる可能性があるわけです。

でも、その複製って「新しい音楽を生み出すため」なんですよね。Suno側は「AIは既存曲を再生するわけじゃない。まったく新しい曲を作っているだけ」と反論しています。

実際、生成された曲はオリジナルに似ている場合もあるけど、完全コピーではありません。そして学習の段階では、元曲をそのまま配信したりはしていない。

このへんの「グレーゾーン」をどう判断するかが、今まさにアメリカで問われているわけです。


4. クリエイターの立場から思うこと

私もDTMで曲を作る一人として、このニュースには複雑な気持ちです。

「自分が苦労して作った曲が勝手に学習されるのは嫌」という気持ちも正直あります。でも一方で、「AIに曲を学ばせること自体がNGになったら、創作の自由がすごく狭くなる」とも思います。

たとえば、私たちが子どもの頃から聴いてきたJ-POPやアニメソングの感覚って、無意識に曲作りに出るじゃないですか? それとAIの“学習”って、かなり近いと思うんです。

しかも今のAIは、「クリエイターの補助ツール」として使えば、めちゃくちゃ強力。たとえば、

  • コード進行のアイデアをAIに出してもらう

  • メロディの参考になるパターンを出してもらう

  • 歌詞の叩き台をAIに書かせて、そこから磨く

みたいな使い方は、すでに私もしています。時間の節約にもなるし、自分の発想にないものに出会えて面白いんです。

でも、もし「学習禁止」が広がってしまえば、こういうAIツールもどんどん作れなくなってしまう。創作の可能性が狭まってしまうことが、むしろ一番怖いなと思っています。


5. 音楽とAI、未来はどうなる?

今回のSuno訴訟は、きっとしばらく続くと思います。でもここから先は、たぶん「どっちが勝つか」じゃなくて、

  • AIと音楽業界がどう折り合いをつけるか

  • クリエイターやユーザーにどう還元されるか

が重要になってくるはずです。

たとえば「AIが学習に使った分のライセンス料を払う」とか、「生成された曲に似てる元曲があれば還元する」とか、共存の仕組みが必要なんだと思います。

そして、私たち一人ひとりのクリエイターも「どうAIと付き合うか」を考えていく必要があります。

AIを全部拒否するのも違うし、全部丸投げするのも違う。**“補助ツールとして使いこなす”**という視点が、これからの時代にはきっと大事になるんじゃないでしょうか。


おわりに:DTM初心者さんへ

AIと著作権の話って難しい。でも、DTMを始めたばかりの方にとっても「将来、自分の曲がどう扱われるか」に関わる大事なテーマです。

今回のSuno訴訟がどう決着するかで、AI音楽のルールが大きく変わるかもしれません。だからこそ、自分も「どんな音楽を作りたいのか」「AIをどう使いたいのか」を考えながら、楽しく続けていきましょう!

あなたの曲にも、AIにも、未来がある。

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